カロン・セギュール
Calon Segur
フランス 赤ワイン
ボルドー、メドック格付け第3級のシャトー・カロン・セギュール。
18世紀、ラフィット、ラトゥール、ムートンなど既に名声を博していた偉大なシャトーを「葡萄畑の王子」とも呼ばれたニコラ=アレクサンドル・ド・セギュール侯爵が所有していました。そんな彼は当時、無名に近かったカロンの畑をこよなく愛しました。彼が「われラフィットをつくりしが、わが心カロンにあり」と、その思いをハートのラベルに込めたという話は有名ですよね。
この愛らしいデザインから女性的な印象を受けますが、カロン・セギュールは“長い熟成を経て花開く、典型的なボルドーワイン”と評されています。格付けシャトーの中でも特に、ボルドーの伝統的で堅実なワイン造りを脈々と続けており、いつの時代も格付け以上の知名度と人気を誇っています。
カロン・セギュールが位置するサン・テステフの畑は、砂礫と鉄分の多い石炭質土壌が主体で水はけがよく、ローマ時代からブドウ栽培に非常に適した産地として名を馳せてきました。この土壌で育つブドウから、豊かで凝縮感のあるタンニンを備えたワインが生み出されています。また、この畑は格付けシャトーの中でも冷涼な場所に位置しており、気候由来の綺麗な酸を湛えたブドウが結実するのも特徴です。手摘みで丁寧に収穫されたブドウは、手作業にて選果されたのち、約18~20ヶ月間の熟成を経てリリースされます。
こうして造られるカロン・セギュールも1960年代以降はスランプが続いていました。しかし1990年代以降、前オーナーであるマダム・ガスクトンによってかつてのクオリティを取り戻してきています。彼女曰くこのワインは「サン・テステフにおけるシャトー・マルゴー」。しなやかで優美な中に芯の強さを秘めたワインと評されています。
先ほど述べたハートのラベルの逸話からこのワインは“世の中には、すばらしい女性がたくさんいるけれど、僕の心には君だけしかいない”という意味を込めて恋人達に愛されているカロン・セギュール。
バレンタインデーなどの特別な日はもちろん、そうでない日でもボルドーの伝統的な味を是非、ご堪能ください。